平成21年 1月22日(木) シニアライフセミナー「認知症予防を考える」
栃木県教育会館

平成17年度より、今後増加するであろう認知症問題の理解促進の一助として「認知症予防を考える」をテーマにセミナーを開催しております。
認知症研究の世界的権威の長谷川和夫先生の基調講演を軸に、体操、落語を交えながら、認知症予防のための生活面のアドバイスを参加者と共に考える内容です。
人々の関心も急速に高まっており、全国各地でも様々な取組みが見られるようになりましたが、当財団もその一助となるよう願っています。
認知症を来たしている原因により治療方法は異なる。「治療可能な認知症(treatable dementia)」の場合は原因となる疾患の治療を速やかに行う。
近年、認知機能改善薬としてドネペジル(商品名:アリセプト)が開発され、アルツハイマー型痴呆を中心として認知機能の改善、痴呆進行の緩徐化などの効果が期待されている。
また、認知症患者は認知機能低下のみならず、不眠、抑うつ、易怒性、幻覚(とくに幻視)、妄想といった周辺症状と呼ばれる症状を呈すことがあり、その際は適宜、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん剤などの対症的な薬物療法が有効なこともある。
なお、日中の散歩などで昼夜リズムを整える、思い出の品や写真を手元に置き安心させる回想法やテレビ回想法などの薬物以外の手段も有効な場合がある。
介護保険、デイケア通所など社会資源の利用も有用である。 しかし、今まで認知症患者の立場からの研究が行われていなく、当事者の立場からの医療・福祉が提供されていない現状がある。
いずれにせよ、専門医(精神科医、神経内科医など)の協力を得て診断、治療を行う事が望ましい。
意識障害時には診断できない。ICD-10とDSM-IVでさえ診断基準は異なるが、一般に、日常生活に支障が出る程度の記憶障害・認知機能の低下の2つの中核症状が見られる時に診断する。周辺症状の有無は問われない。機能が以前と比べて低下していることが必須であり、生まれつき低い場合は精神発達障害に分類される。
記憶・認知機能などの程度を客観的に数値評価する検査としてWAIS-R(ウェクスラー成人知能検査)などがあるが、施行に時間を要し日常診療で用いるには煩雑である。簡便なスクリーニング検査として、日本では聖マリアンナ医科大学の長谷川和夫らが開発した「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」(HDS-R)がよく利用される。世界的にはミニメンタルステート検査(MMS、MMSE)が頻用されている。
うつ病・せん妄と間違われやすい。難聴とも鑑別を要する。
うつ病との鑑別
認知症(痴呆)は、日内変動を伴わず、ゆっくり記憶障害から発症する。深刻さを欠き、質問に対してははぐらかしたり怒ったりする。一方うつ病は、日内変動が強く、比較的急激に抑うつ症状から発症する。自責的で深刻味をおび、質問に対する返答は遅れたりわからないと言ったりする。
せん妄との鑑別
認知症(痴呆)は、日内変動を伴わずにゆっくり発症する。原因が必ずしも特定されない。一方せん妄は、日内変動が強く急激に発症し、対話が成立しないこともある。薬剤・身体疾患などの原因が存在する。
以前よりも機能が落ち、以下の症状を呈するようになる。家族などの介護者を悩ませ、医療機関受診の契機となるのは、周辺症状である。
中核症状
記憶障害と認知機能障害(失語・失認・失行・実行機能障害)から成る。神経細胞の脱落に伴う脱落症状であり、患者全員に見られる。病気の進行とともに徐々に増悪する。
周辺症状
幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力など。神経細胞の脱落に伴った残存細胞の異常反応であり、一部の患者に見られる。病気の進行とともに増悪するわけではない。
記憶障害のみにとどまらず認知機能低下をも含む、「広義の軽度認知障害」の概念のひとつとして国際老年精神医学会が診断基準をまとめたもの。
加齢関連認知低下とは、6ヶ月以上にわたる緩徐な認知機能の低下が本人や家族などから報告され、客観的にも認知評価に異常を認めるが、認知症には至っていない状態である。認知機能低下は、(a)記憶・学習、(b)注意・集中、(c)思考(例えば、問題解決能力)、(d)言語(例えば、理解、単語検索)、(e)視空間認知、のいずれかの面に該当する。
ある地域の高齢者を対象にした研究では、3年後での認知症への進行率は、軽度認知障害が11.1%、加齢関連認知低下では28.6%であった。しかも、軽度認知障害の一般地域高齢者に占める割合は3.2%のみだが、加齢関連認知低下は19.3%にも上る、と報告されている。